【歌詞考察】日向坂46『日向坂』。けやき坂46が上ってきた道に思いを馳せた | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

【歌詞考察】日向坂46『日向坂』。けやき坂46が上ってきた道に思いを馳せた

 『日向坂』は、2019年の「FNS歌謡祭(フジテレビ)」で初披露されています。ですが、長らく、表題曲のカップリング曲になるでもなく、未発表曲のままでした。

そして、日向坂46のファーストアルバム「ひなたざか」のType-Aに収録されることになりました。歌詞は、秋元康さん。

Type-Aを購入して、〈けやき坂46が、上ってきた道〉に思いを馳せました。それについて書いていきたいと思います。

日向坂46が、上ってきた道

夕日


私が、けやき坂46の上ってきた道に思いを馳せた理由は、次の歌詞があったからでした。


①ひらがなで学んだ色々なこととか思い出す度胸が詰まる

漢字を書くかっこよさ憧れていたけど

②ないものねだりって気づいた

③ちょっと遠回りをしてどうにかここまでやって来た

全力で登るだけ僕たちは日向坂


これらの歌詞で、けやき坂46が日向坂46に改名するまでの道のりが、表現されていると感じました。

けやき坂46は、欅坂46とは、別グループの位置づけで発足したのですが、アンダーチームと呼ばれることもしばしばでした。

①のひらがなで学んだ色々なこととか思い出す度胸が詰まるという歌詞は、そんなけやき坂46時代に経験した不遇な思い出を想起させる表現になっています。

漢字を書くカッコよさというのは、けやき坂46の憧憬の的が、欅坂46であることを表しています。

そして、けやき坂46に、2期生や3期生が加入して、改名しました。

憧憬の的を欅坂46にしても、それは、ないものねだりと気づいたのは、この頃ではないでしょうか。

さらに、現在のハッピオーラ満載の日向坂46を表現しているのが、③の歌詞になると解釈しました。未来しか見据えていないから、全力で登るだけ、なのです。

日向坂46の過去から現在、未来を感じられる歌詞になっていますね。

『日向坂46ストーリー』で知る、けやき坂46時代



さきほど、けやき坂46は、不遇な扱いを受けていたと書きました。なぜ、そう思ったのかといえば、<誰も並ばない握手会>が、思い浮かんだからです。

2020年3月に発売された集英社の『日向坂46ストーリー』の第6話 【お披露目と初単独イベント】編で<誰も並ばない握手会>の模様が書かれていました。

けやき坂46の1期生が経験した<誰も並ばない握手会>は、2016年8月に行われた、欅坂46のセカンドシングル「世界には愛しかない」の全国握手会のことです。

この握手会が、けやき坂46のお披露目会を兼ねていました。当然、知名度は欅坂46に劣りますから、ファンがいないのは当然です。

その握手会の模様は、テレ東の「欅って、書けない?」で放送されていたように記憶しています。

そういった状況を経験したから、今の日向坂46があると思うと感慨深いです。歌詞にあるように、胸が詰まるとしか言いようがありません。

ここで、②ないものねだりって気づいた、という歌詞を振り返って、どんなきっかけがあってないものねだりと気づいたんだろうと不思議に思いました。

けやき坂46が、欅坂46と違った「らしさ」に目覚めたのは、2期生が加入してからだと考えています。

それが分かるエピソードが、『日向坂46ストーリー』の第19話【 ひらがなとは何か?】にありました。

けやき坂46は、2018年の「ひらがなけやき日本武道館3DAYS !!」を成功させています。

この時、佐々木久美さんが「自分たちは、欅坂46とは別のひらがなけやきっていうグループです、と言えるようになれたかもしれない」と自信をのぞかせていました。

佐々木美鈴さんも、日本武道館公演で『イマニミテイロ』を歌った時の心境を語っていました。

握手会に人が並ばなかったことの悔しさは、欅坂46へのライバル心ではなかったそうです。

欅坂46を意識し過ぎて、積極的になれなかった。そんな自分を美鈴さんが、歯がゆく思っているかのようでした。

そして、美鈴さんは、けやき坂46グループとして前にでなければならないと、考えています。

そう考えた瞬間が、ないものねだりと気づいた瞬間と言えないでしょうか。

佐々木久美さんや、佐々木美玲さんの心境が、『日向坂』で書かれた上述の3つの歌詞のように表現されているように感じます。

欅坂46に萎縮するでもなく、追い抜くでもないのですね。

けやき坂46時代の彼女たちの目の前に伸びていた坂道は、欅坂46とは違う景色だったということでしょう。 終わり