歌詞の意味を考察・・・「僕のこと、知ってる?」と尋ねる理由
「僕」は、ここまで生きた思い出を落としてしまい、それを探している
■僕のこと、知ってる?
「僕のこと、知ってる?」というタイトルは、不思議に感じました。
自分のことは自分が一番知っているはずです。
だから、他人に「僕のこと、知ってる?」と問いかける画は、滑稽に見えました。
なぜ、「僕」は、他人に自分を知っているのかと質問したのでしょうか。
思い当たるのは、事故に遭うなどして、本当に「僕」は自分のことを思い出せなくなったことでした。
次の歌詞からも、自分を思い出せない「僕」が主人公になっています。
知らない街のどこかに一人で立っていた どうしてここにいるのか? 僕にもわからない 今までのこと何にも覚えていなかった 人混みの中ぼつんと
「僕」は、知らない街の雑踏に紛れ込んでいるようです。
この時の「僕」は、孤立感を深めていると想像しました。
混み合うほどに、人が大勢いる時に、寂しさを感じる瞬間があります。
なぜ、寂しくなるかというと、大勢の人に見知った人物が1人もいないからでした。
「僕」は雑踏の中で、「僕のこと、知ってる?」と問いかけているのですね。
そして、「僕」が知らない街でも、もしかしたら顔見知りがいるかもしれないという期待が、「僕のこと、知ってる?」というセリフに込められていると思いました。
しかし、残念ながら、歌詞は次のように表現されています。
側の誰かに聞いても答えてもらえない 人のことなど結局親身になれないのか・・・勝手だ 勝手だ 傍観者たち
「僕」を知っている誰かがいるのではないかという希望的観測は、打ち砕かれました。
そして、舌打ちでもして、傍観者めと吐き捨てるような「僕」を思い浮かべます。
ただ、傍観者に苛立った「僕」でも、自分を知る人が誰もいなくても構わないと考えています。
なぜなら、次の歌詞があったからでした。
そう 誰も知らない世界へ行きたかった 顔を晒したって気付かれない人混みの中歩きたかった 自分が誰か どうだっていい
自分が誰かどうだっていいという歌詞で、「僕」は、現実逃避をしたかっただけではないかと思いました。
ブラック企業に勤めていて、メンタルに異変を感じると、自分の生き方に疑問を持ってしまいます。
「僕」は、長時間労働でメンタルが蝕まれたことで、自分の生き方に疑問を持ったと考えました。
また、次の歌詞も、自分が誰かどうだっていいと考えている「僕」が、自分の生き方に悩んでいることを想起させます。
手がかりが欲しいんだ ここまで生きた思い出さえ落としたのかな 捨ててしまったか 忘れてるのか 本当の僕は今もきっと いつかの僕と探したいんだ
「僕」は、現在の自分に嫌気が差していると思います。
自分が誰かどうだっていい、というのは「今の僕」に興味はないことと同じだと考えました。
「今の僕」に嫌悪感を抱いているから、知らない街に紛れ込んで、現実逃避しているように思えます。
それでも、「僕のこと、知ってる?」と聞いてしまうのは、なぜでしょうか。
歌詞にあるように、生きた思い出を落としたのか、捨ててしまったのか、忘れてるのかを知りたいのです。
では、「僕」は、ここまで生きた思い出を落としたのか、捨ててしまったのか、または忘れたのかが、気になりました。
生きた思い出を落とした場所が知らない街なのか、生きた思い出を捨てた場所が知らない街なのか。
「僕」は、食いつなぐために一生懸命に働いて、ふと、思い出が何一つないことに愕然としているように思えました。
そうしますと、「僕」は、生きた思い出を落としたのではないかと想像できます。
だから、「僕」は、落としてしまった生きた思い出を探して、「僕のこと、知ってる?」と問いかけているのだと解釈しました。 終わり