歌詞の意味を考察・・・「俺」の誇りとは
怒りをロックで、表現する
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主人公が壊したのか、壊されたのか。壊したのであれば、鬱屈とした心情を想像します。
また、ゆいちゃんずの「渋谷川」のミュージックビデオのワンシーンが思い浮かびました。事故で、ギターがケースに入ったまま投げ出された場面です。
ギターの音が出ない理由は、次の歌詞でわかりました。
ライブハウスステージ中 ベースの奴と殴り合って「もう解散しよう」と アンプを切られた
ベースが喧嘩の腹いせに、「俺」のギターのアンプを切っています。
そして、「俺」はアンプを切られてどうしたのでしょうか。
音が出ないギター それでもかき鳴らしてやりたい 音楽を歌い続けた 気に食わないなら出て行けばいいさ
「俺」は、歌い続けました。ライブハウスの客に、「ふざけるな」と野次を飛ばされても演奏を止めません。
何が「俺」を突き動かしているのでしょうか。
そのヒントは、次の歌詞でした。
少年時代憧れたロックは 俺のプライド
ロックに限らず、役者の卵や、モデルの卵、そういった人たちも、現状に不満を抱えているのではないでしょうか。
屋外広告の駅ビジョンを見上げては、自分もいつかは・・・と夢を見ているはずです。
ですが、夢を見ているということは、評価されていない現実があるということになりました。
そういった鬱屈した思いを抱えて、プライドを持てるのかという疑問が生じます。
ましてや、「俺」は、仲間にギターのアンプを切られて、客に野次を飛ばされていました。
心が折れて、演奏どころではない状況です。
その時の「俺」の心境が、夜と世間の温度が落ちて背中が寒い、という歌詞になっていると思いました。
それでも、演奏を続ける「俺」です。なぜ、声を張り続けるのでしょうか。
怒りが湧くうちは やり直せるんだ 弦が切れたギター 本音を隠すよりも 世界に叫んで声を枯らした
怒りが、「俺」の原動力になっていました。
アンプを切られて「音が出ないギター」は、「俺」に、創造的な活動が認められていない現実を突きつけます。
得てして、怒りは、ネガティブな側面が目立つものです。
例えば、「俺」と衝突したベースは、仲間のギターアンプを切るというネガティブな行為に走りました。
「俺」に言わせれば、ロックの誇りを感じることができない愚かな行為と言えます。
「俺」は、怒りで姑息な手段は取らないという気概が、彼の「誇り」と解釈しました。
終わりに
怒りを感じた時の行動に、人間性が問われます。怒りにネガティブな側面を感じる行為は、ベースが行った(「俺」のギターのアンプを切った)ことになるでしょう。
ベースは、一時の激情に駆られて、生じる損害を見越すことが出来ていません。
そういった愚かな行為から、ロックの「誇り」を感じることはできませんでした。
そして、ロックの「誇り」は、ギターアンプを切られても野次られても、人道に則った方法(ロックを演奏)で社会に向き合うことだと、「俺」が言っているように思います。 終わり
乃木坂46 「音が出ないギター」は、2012年夏に発売された3枚目のシングル「走れ!Bicycle」に収録されています。
歌詞は秋元康さん。
歌詞は秋元康さん。