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歌詞は秋元康さん。
温度感という言葉があります。
例えば、自分の話に乗り気である人は、温度感が高い人と言いました。
逆に、乗り気でない人は、温度感が低い人と認識します。
そして、温度感が低い人には、心理的に距離を感じてしまう傾向にありました。
乃木坂46の楽曲は、恋愛といった青春を想起させる歌が多いです。
だから、「設定温度」のタイトルの世界観を想像した時に、主人公と恋人が互いに、心理的な距離を感じているのではないかと思いました。
歌詞考察・・・温度を使った意図
心理的な距離感を感じさせる
他人との距離感を感じた時は、相手が心を閉ざしている可能性が高いでしょう。そうなると、その他人は温度感の低い人と言えます。
あるいは、自分が温度感の低い人になっているかもしれません。
主人公は、温度感が高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。
歌詞は、次の表現になっていました。
このエアコンの設定温度 君と僕はきっとすれ違っているんだ 少し下げれば涼しくなるとわかってはいても 君が寒がってしまう
暑いからエアコンの設定温度を下げることを考えた「僕」でした。
ですが、設定温度を下げません。なぜなら、「君」が寒がりだからです。
だから、「君」にとって「僕」は温度感の高い人間と言えました。
そして「君」とすれ違っているんだと、「僕」は考えています。
すれ違っているということは、「僕」と「君」は仲たがいしているのではないでしょうか。
すでに「僕」は、心理的な距離を感じているのです。
むしろ「君」を温度感の低い人と認識しているような冷え切った関係を想像してしまいました。
「僕」と「君」が、冷え切った関係にあるのではないかと思わせる表現が、他にもあります。
次の歌詞です。
僕だけどうしてこんな苛立つのか 今も君のことを 愛してても
「君」を愛しているけれども、関係を続けることに消極的になっていると思いました。
なぜなら、「僕」は苛立っているからです。では、なぜ「僕」は苛立っているのでしょうか。
それは、次の歌詞でわかります。
君と僕はもっと言い合った方がいい 人を愛せばやさしくなって 限界以上に我慢してしまうだろう・・・そんな気遣いは 無駄なことらしい
そんな気遣い、とは何を表しているのでしょうか。
暑がりの「僕」が寒がりの「君」に遠慮してエアコンの設定温度を下げない優しさと言えました。
そんな「僕」の優しさに対する「君」の態度に、彼は心理的な距離を感じていると思います。
だから、「僕」から見れば、「君」は温度感の低い人になっていると解釈しました。
終わりに
気遣いは、寒がりの「君」に遠慮して、エアコンの設定温度を下げない「僕」の優しさでした。そして、無駄な気遣いと表現されています。
これは、「君」に対する優しさが報われない「僕」の虚しさが、表現されていると思いました。
だから、「僕」は、もう「君」と一緒に生活をすることはできないと考えているのではないでしょうか。
そのように考えれば、「僕」が聞いたエアコンの室外機の音を、犬の唸り声に例えてしまうのも納得できます。
そして、室外機を、蒸し暑さの加害者と表現するのも、打ち上げ花火を安いそれと表現するのも、「君」と同棲することに楽しさを感じることができていないからです。
「僕」は、「君」を優先する同棲生活に限界を感じていると思いました。
それでも、「僕」と「君」の関係が続くような可能性を感じさせる表現があります。
それは、秋はまだ遠い、という歌詞です。
ゴールを意識しないと、遠いとか近いとか考えません。
だから、秋を意識していることでわかるのは、「僕」が夏を乗り過ごそうと考えていることになります。
少なくとも、「僕」は秋までは「君」との同棲生活を、続けようとしていると解釈できました。 終わり