乃木坂46「失いたくないから」歌詞考察。片思いの歌 | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

乃木坂46「失いたくないから」歌詞考察。片思いの歌

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乃木坂46「失いたくないから」はファーストアルバム「透明な色」(2015)に収録されています。作詞は秋元康さん。

また、2012年に発売されたデビューシングル「ぐるぐるカーテン」のカップリング曲でもありました。



歌詞考察


「僕」の片思い

冒頭の歌詞に水道の蛇口や水が登場しています。

水道の蛇口顔を近づけ冷たい水喉に流し込む斜めに見えるあの青空がどんな時も僕の味方だった

青空がどんな時も僕の味方だった、という表現が気になりました。孤立感に苛まれていなければ青空が味方とは考えません。切なさを感じます。なので、水道の蛇口や水から受ける印象として、涙を流している主人公の哀しさがあると思いました。

「僕」は、なぜ孤立しているのでしょうか。

コンバースの紐直すフリして君のことだけずっと見ていたよ渇いた喉は癒せるけど胸の砂漠はいつでも何か沈んで行く

このことから、「僕」の孤立感の正体がわかります。君への片思いに苦しんでいるのでしょう。なぜなら、水道水を飲んで喉を潤しても、胸の砂漠は乾いたままという歌詞になっているからでした。君をみても胸は砂漠のように乾いたままという表現で、植物がない荒涼とした砂だけの大地をイメージしたのです。

何も作物を実らせることができない不毛さといった「僕」の絶望を感じました。こうなると、タイトルの「失いたくないから」の意味が、「君」に告白することで友達の関係を消滅させたくないという「僕」の願望になっていると考えてしまいます。

本当に「僕」の想いは「君」に届かないのでしょうか。砂漠にあるオアシスのような存在に「君」はなっていないのでしょうか。

救いのある表現が歌詞にあります。

雨が降り始め夕立になる君は頭の上に学生鞄かざして走るよついてないって素敵な笑顔で・・・ひっくり返したバケツの後で体育館の上虹が架かってる一緒に眺めた

雨が降ると同時に「君」は「僕」に走り寄って笑いかけました。バケツをひっくり返したという表現で「僕」の胸の砂漠が潤ったような印象を持つことができます。そして、「君」と一緒に虹を見上げていますから、「僕」の恋に明るい予感を感じました。

終わりに


10枚目のシングル「何度目の青空か?」にも水道の蛇口や水が登場しています。こちらの水道の蛇口は、主人公の感情が漏れているような意味が込められていると解釈しました。なぜなら、歌詞に大事なものがずっと流れ落ちてるようで・・・と書いてあったからです。そして、そこから流れ出る「水」は「僕」の涙だと感じたので、「失いたくないから」に登場する水道の蛇口や水にも同じ意味があるように思えました。 終わり