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歌詞考察
周囲に流されないことを決心した「きっかけ」
タイトルだけ読むと、何の「きっかけ」を歌っているのだろうという疑問が浮かびます。乃木坂46の楽曲であることを考えて、恋が始まった「きっかけ」とか、恋が終わってしまった「きっかけ」と妄想してしまいました。歌詞では、決心のきっかけ、と表現されています。主人公の「私」は何を決心したのでしょうか。何を決心したのかがわかる表現に次の歌詞がありました。
流されてしまうこと抵抗しながら生きるとは選択肢たった1つを選ぶこと
この歌詞で「私」は流されてしまうことに抵抗することを「決心」したことがわかります。そして、流されることに抵抗するのだという決心の「きっかけ」が、次の歌詞と言えます。
交差点の途中で不安になるあの信号いつまで青い色なんだろう?・・・自分の意思関係ないように誰も彼もみんな一斉に走り出す何に追われ焦るのか?と笑う客観的に見てる私が嫌いだ
タイトルの「きっかけ」の意味が、ここでわかりました。「私」が変わりたい、周囲に流されたくないと決心した「きっかけ」が、交差点の青信号によって誰もが動いてしまうことに嫌悪感を抱いたことでした。
となると、乃木坂46の「きっかけ」の世界観は恋愛ではないということになります。むしろ、欅坂46のグループコンセプトに近い世界観だと思いました。例えば「自分を押し殺してまで大衆に迎合することに意味はあるのか?」といった感想を持ちます。
信号待ちの交差点で、大衆に迎合することに嫌悪感を抱いた「私」ですが、突然交差点で周囲に流される自分は嫌いだと思ったわけではないと思います。
交差点が通学路の一部であれば、学歴の意味とか結果が出ない自分に嫌気が差していることになります。通勤経路の途中での交差点であれば、ノルマをこなすことに疑問を持っているのではないかと妄想しました。ですが、「私」が学生なのか社会人なのか、社会的属性がわかる表現はありませんでした。
のら猫ひろしが妄想する「私」の属性は、不安定雇用で時給が固定したまま何十年も働いているような中年です。将来が不安になるほど、時給が低いのに、会社の言いなりになってしまう自分に嫌気が差している「私」ということです。
そんな「私」であれば、歌中にある、決心のきっかけは理屈ではなくていつだってこの胸の衝動から始まる、の衝動は、先の見えない不安定雇用で人生を終わらせたくない叫びと考えました。
終わりに
「きっかけ」の歌詞は、決心は自分から思ったそのまま生きよう、で終わりました。この「決心」は、不安定雇用で時給も固定のままである働き方から抜け出す決心と妄想します。自分の働き方に疑問を抱いた「私」の物語で、彼は、のら猫ひろしみたいだと思いました。 終わり