歌詞の意味を考察・・・抱きしめられる理由
満身創痍の人間を「抱きしめてやる」ことで守りたい
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傷つくこと何も恐れるな・・・立ち上がれないならすぐ近くにいる大事な人を探して・・・という歌詞からわかるように、主人公は満身創痍であることが想像できました。
スポーツ選手であれば、傷だらけで試合に臨んでいる姿が浮かびます。
または、過度の残業を強いられて精神的なダメージを受けている労働者も満身創痍と言えます。
そういった傷ついている人間を「抱きしめてやる」のでした。
傷ついている人間を肯定していることがわかる歌詞は、次の2つになります。
人は涙枯れ強くなる弱きもの
人は自分の弱さ怯えて愛を知る
涙枯れたら、末期症状だなという印象がありました。
末期症状というのは、例えば、心の健康が損なわれて、無感動、無関心になっている状態です。
もちろん、心の健康が損なわれる背景は複雑ですから、一概に言えませんが、のら猫ひろしが「抱きしめてやる」を聞いて連想したのが、40代といった働き盛りといわれている年代でした。
過重労働によって心の健康が損なわれた中年といったところでしょうか。
また、職業上の問題は、過重労働だけではなく、失業もありますし、それによって経済問題も生じます。
ここで、人は涙枯れることでしょう。
そして、そこから強くなるのが人だという歌詞になっていました。
涙が枯れて強くなるというのは、開き直ることで、未来を生きる覚悟を持ったと言えそうです。
人は自分の弱さ怯えて愛を知る
金銭的に苦しくて餓死している自分の姿が頭をよぎっても、開き直れるならば、それもまた、未来を切り開いたことになります。この餓死しても構わないという決意は、ハイデガーによって「死への先駆的決意」と呼ばれました。
人生を「死への先駆的決意」によって生きることになります。
それは人生が限りないものであることを受け入れていることになりました。もちろん、人生は有限だという認識は、ライフイベントなどの不可抗力によってもたらされたものです。
しかし、この時に感じた無力感によって意識した死は、社会的に死んでいるだけだと考えればよいことになります。
こういった開き直りが、「死への先駆的決意」でした。
その時にもし、他者が「抱きしめてやる」という態度をとってくれたら、歌詞にあるように人は自分の弱さ怯えて愛を知る、ことになるでしょう。
終わりに
人は弱いけれども、涙が枯れた時に強くなれる。そのように考えることができれば、守るべき存在を「抱きしめてやる」ことができるのです。 終わり
■抱きしめてやる■
日向坂46が歌う「抱きしめてやる」は、「黒い羊」(2019)に収録されていました。作詞は秋元康さん。
黒い羊の収録曲を持って、日向坂46は単独デビューします。つまり、「抱きしめてやる」は、けやき坂46名義としては、ラストとなりました。
黒い羊の収録曲を持って、日向坂46は単独デビューします。つまり、「抱きしめてやる」は、けやき坂46名義としては、ラストとなりました。