【歌詞考察】ゆいちゃんず「ボブディランは返さない」。なぜ返さないのか | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

【歌詞考察】ゆいちゃんず「ボブディランは返さない」。なぜ返さないのか

歌詞の意味を考察・・・返さない理由


返したら、「あなた」と会えなくなる

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ボブディランは、ノーベル文学賞に輝いたミュージシャンでした。

「ボブディランを返さない」ということは、主人公が誰かに、その曲を借りたことになります。

誰に借りて、なぜ返さないのかが気になりました。

「ボブディランを返さない」の前に、ゆいちゃんずは、「渋谷川」を歌っています。

「渋谷川」は、主人公が、渋谷川沿いを一緒に帰る「君」に恋心を抱きつつも、胸に秘めたままの歌でした。

そういった事を踏まえると、「ボブディランを返さない」は、恋の歌と考えても良さそうです。

だから、主人公は、恋人にボブディランの曲を借りていると想像できました。

では、なぜ恋人に、ボブディランの歌を返さないのでしょうか。

予想できるのは、返したら、もう会えなくなるかもしれないという不安が、主人公にあることです。

冒頭の歌詞を見ると、その予想は当たっていると思いました。

冷めてる紅茶 大好きなのに 手もつけられない

好みの紅茶を口にすることができないほどに、「私」は弱っています。そして、続く歌詞で、恋の終わりに直面していることが分かりました。

謝らないで 私の恋が可哀想になる

可哀想になる恋といったら、相手の心が自分にない恋愛ということになります。

「私」は、振られたのでしょう。


失恋した「私」であれば、ボブディランを返さない理由はひとつしかありません。

振られたことに納得しておらず、ボブディランを返したら会えなくなることを恐れているのです。

別れに納得していない「私」の心境が分かる歌詞は、次の表現でした。

黄昏色のカップの底に 溶けないままの恋の角砂糖 そんなやさしく見つめられたら あなたのことを諦められない

黄昏色という表現から、夕暮れ時に感じる寂しさが、思い起こされます。

なぜなら、夜の帳が降りる時間を意識せざるを得ないからでした。

そういった連想も相まって、恋の角砂糖は、「あなた」への未練だと感じます。

未練が溶けないわけですから、別れに納得がいっていないのだという解釈ができました。

「私」は、「あなた」と会えなくなるのが辛いのです。だから、「ボブディランを返さない」という意味に取れました。

終わりに

ねえ もっと嫌いになれるくらい 傷つけるひどいこと言ってください、という歌詞から、「私」を振ってもなお優しい「あなた」の性格を想像できました。

だから、思い出は いつも整理ができなくて、という歌詞に胸を打たれます。

「私」が、「あなた」との思い出を整理できた時に、ボブディランを返すことができるのでしょう。 終わり


■ボブディランは返さない■
ゆいちゃんず(小林由依さんと元欅坂46の今泉佑唯さん)が歌う「ボブディランは返さない」は、2016年発売の欅坂46セカンドシングル「世界には愛しかない」に収録されています。

作詞は秋元康さん。