日向坂46「線香花火が消えるまで」歌詞考察。線香花火は何の象徴か | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

日向坂46「線香花火が消えるまで」歌詞考察。線香花火は何の象徴か

歌詞の意味を考察


終わってしまった恋

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線香花火は、枝状に広がったかと思うと、すぐ消えてしまいます。束の間ですから、むなしいですし、花火が長く続く見込みが薄いから不確実な存在でした。

こう考えて、人間関係に当てはめると、長持ちする目途もつかないような、見通しがはっきりしない恋にぴったりです。

また、相手の取るに足らない気分を感じれば、線香花火のような虚しさを感じることができました。

日向坂46「線香花火が消えるまで」の歌詞には、なぜだ? 誰のせいだ? 別れを選んだのは、とあります。

あっけなく終わってしまった線香花火の感想になっていると思いました。振られて思い返した恋が、あまりにも短いという無念も感じられます。

線香花火


さだまさしさんの「線香花火

線香花火にまつわるもので、さだまさしさんも歌っています。40年以上前になりますか。

さださんの線香花火も男女の関係の儚さを感じさせる曲でした。ただ、男性に家庭があるように思えてなりません。

それは、いつ帰るのと 線香花火にきいたという歌詞があるからです。

また、火玉がぼとりと落ちて、という歌詞も、恋が成就しないのではないかと思わせる表現でした。

こちらは、火は点いたけれども勢いがつかないという悔しさで女性が泣いているような情景が思い浮かびます。


線香花火がなぜ心を打つのか

戦前の物理学者である寺田寅彦氏の随筆に、線香花火があります。

この随筆を読むと、点火された線香花火の先端から放出された炎を牡丹の花弁に見立てていました。

そして勢いづいた炎は松葉を展開して力弱く垂れ曲がっていきます。最後は散り菊のようだと表現していました。この一連の流れを寺田寅彦は、序破急と言っています。

序破急は日本伝統芸能の理念とされています。牡丹の花弁でのびやかな導入部となり、勢いづいた炎は松葉という細やかな表現でした。

そして、散り菊から力弱く垂れ曲がる様は、急激な変化の終結を意味します。

終わりに

寺田寅彦氏の解釈で日向坂46「線香花火が消えるまで」の歌詞を眺めてみると、一瞬パチパチとはぜては破から急への変化と言えました。

そして、さだまさしさんの「線香花火」における火玉がぽとりと落ちての歌詞は、散り菊ですから急ということになります。

実らない恋が線香花火に見立てられていて、儚さが感じられました。

日向坂46「線香花火が消えるまで」も、さだまさしさんの「線香花火」も、序破急に通ずるものが線香花火に重なっていることで心を打つのです。 終わり


■線香花火が消えるまで■
日向坂46「線香花火が消えるまで」は、けやき坂46名義ファーストアルバム「走り出す瞬間」の収録曲です。

作詞は秋元康さん。